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 ぎんざ両替商ののれんをぱっと粋に跳ね上げて現れた美人は高杉だった。
「げっ、銀時」
 高杉は金襴の地に青い菖蒲を咲き誇らせたド派手な袷を着ていた。
「…こーりんでスカ。相変わらず派手濃いことぉ」
 大胆な迫力の中にも品の或るこーりん菖蒲を高杉がまとうと退廃的で卑猥きわまりない。つまり高杉は白昼堂々、本日もどエロかった。なんでこうなっちゃったのかなーと銀時は遠い目をする。襦袢が濃藍で肌の白さを際立たせるからか…。大体、金地の服なんか着たら普通本体は逆に埋没するもんだ。それがこのエロリストと来たら着物以上に衆目の視線を釘付けにしている。着物も本望だろう。
「お前何でこんなとこにいんだよ。仕事か?」
 とうの本体はイヤそうに顔を顰めて不機嫌そうだ。それはそうだ。ここはぎんざで銀時と出くわすなんて思っても見なかったろう。銀時の本拠地大江戸かぶき町はぎんざからみれば大江戸の外れだ。
「そ。終わった所。ちょうどいいやちょと銀さんとお茶しようぜぇ」
「断る。オメーのいく所なんざ、用がねぇ。どうせ甘味屋だろ」
「酒頼めばいーじゃん。それより銀さん、おめーに聞きてぇことあんのよ」
「んだよ」
「それよ。そのおべべよ。どうしてそんな女物着てんのぉぉぉぉぉぉ。超淫らなんですけどぉぉぉぉ。きっちり着込んだストイックで清純なむらむら晋ちゃんはどこいったのー」
 高杉は刀を抜きながら冷たく言い放った。
「死ね」
 で、どうしたかというと一頻り斬るの斬らないの、死ぬの死なないのと騒いだ後、警察呼ばれそうになってやっと銀時は金襴の袖を引くことに成功した。そのまま別方向へ逃げようとする高杉を馬鹿力にものを言わせてパーラーに連れ込んだのだった。
「俺、イチゴミルクパフェ。後この人に何か酒としょっぱいつまみね〜。え、シャンパンしかない? どんだけ高級ですか? はいはい。何でもいいからそれ持ってきて。でないとこの人暴れだすから」
 無理矢理引きずられてきた上に暴れだす云々と言われた高杉は銀時をぎりぎり睨みつけながらいった。
「もちろんおめーのおごりだよな? 銀時ィ」
 相変わらず視線だけで人を殺せるんじゃないかという眼光の鋭さだ。これで両目そろってたら、視線があっただけでその辺の野郎どもを射抜きまくるんだろうなぁと思いながら銀時は頷く。
 鬼兵隊はそんなんばっかりだった。
「お? おー、そーね。いいよそれで」
 懐石おごらされるよりよっぽどいい。仕事が終わったばかりでそれくらいは出せるだろう。今月も家賃は払えないだろうけどそれはいつものことだ。
「で?」
 和装でシャンパン、煙管かーと銀時はエロリストの幼なじみを視姦しながら先を促した。
「ん?」
「だからそのおべべはどうしてそうなっちゃったんですか? コノヤロー」
「あー」
 そう言いながら、ふっと色っぽく高杉は煙を吐いた。気怠い。ヤバい。可愛い。
「おめー聞いたら怒るんじゃね?」
「何それそんな話なの? だったら尚更でしょ。怒らせんのと尋問されんのとどっちがいい? 銀さんこれでも相当我慢してんのよ」
 そんな帯一本で止まってるはだけまくった着物簡単ぷーで、くるくるくるーとはいで犯すぞ♥と思いながら笑いかけたら、めんどくさいと思ったのか高杉は事の仔細をべろっと吐き出しはじめた。
「仕事で人に会う時よぉ、人目に付かない場所で接待っつーと大概遊閣になんだよな」
「…へー…」
 リッチだね。ついでに女抱くの? と思いながら銀時は相槌を打つ。
「まあそこに真撰組とか踏み込まれた事あって、ちょうどその時一緒にいた奴が遊女の着物着せて俺をこう」
 と言いながら、煙管をくわえたまま高杉は手のひらを伏せた。
「押し倒したってか…
「白粉もしてねぇんだから絶対バレんだろ? ありゃうまくねーよ。結局窓から抱えられて逃げる羽目になってよー」
「何で抱えられて!? 自分で走ってくんない、そういう時!」
「うっせ。俺だってトラウマあんだよ。それに関しちゃよー…。んでアジトに戻ったらまた子の奴がぎゃーぎゃー喜んじまって、以来こういう服しか買ってこなくなった」
「拒否レヨ」
「あ? おめー俺が唯々諾々と最初からこうだったと思ってんのか?」
 うん。どうだろうね。銀さんもうお前の事は良く分かんないわ。
「っていうかまだあんの?」
「あれはまだ俺が着る着ないでもめてて寝間から出なかった時な。白石が来て」
 白石というのは長州で有数の商人で辰馬の実家のように手広く商いをしている。代々溜め込んだ富を使う相手を捜しており、何人もの傑物を見てきたそのおっさんが惚れ込んだ相手がよりによってこの高杉なのであった。
「あのおっさんまだ生きてたのぉぉぉぉ? つかまだ繋がってんのぉぉぉぉ?」
「大事なパトロンだろうが。寝間に通すわけにはいかねぇし、しょうがねぇそれ着て出て行ったら弾けちまって、ほら、呉服問屋もやってただろ? あいつ。どっさり送ってきたぜぇ。店開けるほど」
「あ〜、だから身代傾くんだよ」
 鬼兵隊に出資するのはまだ分かる。分かるけど、それはどうなの。完全に高杉に入れあげちゃってるYOネ。
「また子に着れっつったんだがよー。で、そのうちちっと国元に用があっていったんだが、白石から聞いたんだか、おりゃあ御両殿にもこれでお目見えよぉ。恥も外聞もねぇだろ。俺は色々諦めたぜ。メリットもあるしな」
 それってどんなメリット? なーんて聞かなくても分かっていた。
 高杉のお色気に当てられたのがわんさかと鬼兵隊に御入隊になったにちがいない。そして高杉のいうところのパトロンとかもわっさーと群がったに違いない。
 それよりも問題が。
 御両殿というのは国元長州のそうせい侯とその世子。
「あんたまだあいつらときれてなかったのぉぉぉぉ!?」
「たりめーだろうが。俺が切れてたのはおめーらだけだぜ、銀時ぃ。大事なパ(以下略)…」
「何であんたって子はほいほいおっさんを引き寄せんのぉぉおおおお? この親父キラーめ!」
「安心しろ。別にもててんのはおっさんだけじゃねぇ」
「できるかぁぁぁぁぁぁ!」
「だからお前は怒ると思ったんだよ。んじゃあな。ごっそさん」
 つまみに運ばれてきたサンドイッチにはまるっきりてをつけないまま、シャンパンを飲み干した高杉は素早く立ち上がった。
「ちょっとまてぇぇぇぇ」
 銀時は言い逃げしようと離れていく袖を引く。
「んだよ」
「お前それで話が終わったと思うなよ? 銀さんが気づかないと思ってんの? 上手に誤摩化されてると思ってる? 銀さんの心の狭さをなめんじゃねーよ! 最初の元凶の名前いってねぇだろーがぁぁぁぁ! 誰に押し倒されて抱えられたって?」
 高杉は天井を振り仰ぐ。
 ほらみろやっぱりめんどくさいことになった。最初に逃げられてればなぁ。
 折角集めた手駒なんだけど、こいつに殺されちゃったりするんだろうか? と思ったとか思わなかったとか。



後編





武州があるんだから長州あってもよくね?
将軍と松平かたくりこいんだからそうせい侯もいるよねー?
って感じで続きます。
大人しくシャンパン飲みながら付き合ってあげてる高杉はほんと良い子だと思います。


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