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総督至上サイト swallowtail mania since 090322 小説はカテゴリーの目次をクリックどーん。
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 何遍も繰り返し、銀時でさえ暗記できたのではと思うほどの時間が経って、銀時は顔を上げ、はっと息をのんだ。
「高杉、おまえ」
 寂々とした沈黙の中で急に声をかけたせいか、それまできっ、と唇を噛み締めて前方に目を凝らしていた高杉が二度、三度と瞬きをする。
「銀時…?」
 反応を返したことに少し安堵した。けれども高杉は自分が声も上げずに泣いていたことには気付いていなかったようだ。
 表情もなく、青ざめて、高杉はまるで力を失った人形のように見えた。頬を伝う涙だけが生きている証。そんな風に見るからに悄然としていたのだ。
 いつもいつも弾けるような生の躍動とともに無茶をやらかしていた高杉が。いい知れない不安に突き動かされて、銀時は高杉の顔を手ぬぐい乱暴にぬぐった。
「な、なにすんだ」
 高杉は嫌がって手で防御する。
(調子が出てきたな)
 まあ、元から銀時の手ぬぐいにちゃんと洗ってるのかどうかとおぼっちゃまらしく懐疑的だったのだ。それが多分功を奏した。
「なにって、目から水がでてたからさ」
「水ってそんなわけ!」
 高杉はそう言うが、目から水を溢れさせていたのは事実だ。手ぬぐいに触ってみればちゃんと濡れているし、事実、高杉の涙を吸って着物も濡れている。それに高杉も気がついて、かっと顔を紅潮させた。
「あれ? それとも泣いちゃってた?」
 意地悪くからかえば、高杉は銀時を睨みつけた。そうだ。高杉はこうでなくてはと銀時は思う。
 そのまま、高杉はべちんと銀時を殴るつもりか、手を挙げた。
「!」
 だが、衝撃は来ず、その白い手は銀時の髪の中に突っ込まれただけだった。
「何してんの」
 さわさわと高杉はその手を動かす。普段は天パと罵る銀時のふわ毛をただ触りたいだけなのか、それともこれで撫でているつもりなのかはわからなかったが、久しぶりの接触は気分が安らぐ。
「うるせー。そういうお前こそ人の心配ばっかしてねぇでちゃんと出せ」
 何を?
 水?
 涙?
 高杉は自分が泣いてたことを認めずに遠回しにそういった。なんだかカツアゲされてるみたいだ。
 銀時は思わずぶひゃっと吹き出し、それから。
 それから自分よりも小さな高杉の体を抱きしめるために、飛びついた。高杉は銀時の体重をささえきれずにばたっと、畳に転がる。
 それでも銀時は高杉を離しはしなかった。
 高杉の涙みたいにきれいなものではなくてきっとみっともない顔をしてる。ぐちゃぐちゃになった顔を見られるのは格好わるくて、情けなくて、ぎゅうぎゅう抱きしめたまま高杉の肩に顔を埋めた。
 高杉は畳に叩き付けられても文句を言わなかった。
「銀時、」
「うん」
「俺は先生を殺した奴らを許さない。この仇は必ずとる」
 高杉もまた銀時をぎゅっと抱きながら、ただそういった。
 それからしばらく、そのまま二人それぞれ、松陽のことを憶った。



 それは寒い日のことで、身を寄せ合った二人の息が白かったことを覚えてる。閉め切られた村塾で、火鉢の火がぼんやりと明るかったこと。
 外ではいつの間にか雪が降って、辺り一面を真っ白にして、あれから銀時につられたのかまた少し泣いた高杉が苦笑した。
 高杉はそれを理由にそのまま村塾に泊まっていった。帰ってきたばかりでそれじゃあ、家族に恨まれるぞと思ったけれど、銀時も高杉を無理に帰してやることはできなかった。
 もう少し、お互い傍にいたかった。
 失われたものの空白があまりにも大きく、堪え難かったので。

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はあはあ。
えーと、おととい脱稿して今日コピーの製本終わりました。
パソコン換えてからはじめてコピー本作ったけど、なんかB6で四辺1.5cmの余白が合体すると勝手に縮小されて3cmくらいあるんですけど。
前の子の方が賢かった!

…次作る時は最初からもっと余白を短くとっておきます。


そういうわけで字とかちっちゃいけどがんばって読んでください。時代に逆行しているので字は小さいし本も小さいです。でも値段はA5と一緒です。

えーとあと
2/12までにお申込いただいた方には受付確認しましたメールを送らせていただきました。届いていない方はお名前かメールアドレスがかいてなかったためのエラーです。申し訳ありませんが2/13までに再度お申し込みください。

当日早朝に高速で東京に行きます。一人でぼーっとしてるので優しくしてください。
では。
宴に参加されたみなさまおつかれさまでした。
また当日おいでくださったお客様ありがとうございました。
すごく盛大な披露宴で幸せでした。主催を始めとするスタッフのみなさま大変だったと思いますけど本当に有り難うございました。

信じられるか。銀高サークルが50以上いたんだぜ。
もの凄い数の銀高同志がいらっしゃいました。もうマイナーとか言わせないぜ。言われるだろうけどさ。
とにかく夢のようでした。
お隣さんと仲良くしていただいて延々銀高の素晴らしさを語り合えて嬉しかったです。

swallowtail mania としてのサークル活動は今後未定ということになります。攘夷オンリーはどうしようかなと思ってるうちに〆切られてました。梅花凋落と雪月花の残部が少しありますが、それは通販もしくはゾロサンスペースで販売ということになると思います。

その前に。
今週中に通販環境を整えましてまずはお取置き分の通販を開始しまして、そちらがおちついてから、残部の通販フォームを作成しようかなと思います。
おそらくあんまり利用される方はいないんじゃないかなと言う感触ですけど。
そういうわけで取りあえず、オフライン情報は一端下げさせていただきます。

あとここのブログとしては、先に秋きたるらしでネタバレ気味な新婚さんの07の回をですね。通販の合間を縫って更新できたらなぁと思います。


ちなみに宴で大量の3Zと攘夷を補給された今一番読みたいのは坂田弁護士×現代高杉です。はあはあ神よ! 我にへんたい坂田弁護士を与え給え!

宴のイベントレポはまた後ほど。
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