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源外のじーさんとヒーローショーを繰り広げた銀時はまだ遊び足りないという神楽にやや驚いた。あんだけ暴れまくったのに、と思う。若さか。これが若さってやつか。
(う〜ん、どうすっかなー)
どうも暴れたせいで、興奮してしまったらしい。それとも折角楽しみにしていた祭りを台無しにされた悔しさか。
気持ちはわからないでもない。銀さんも結局綿菓子食べれなかったしね。夕方から食べたのって焼き鳥に酒だもの。まるで糖分足りないもの。と銀時は神楽を見下ろしながら思った。
しかしこちとら急いで万事屋に戻らなければならない。
放置してきた過激派攘夷志士を逃がしたくはなかった。だが銀時の心とは裏腹に高杉は気がついたとたん逃亡を図るだろう。あの気の強いおぼっちゃまが銀時の拘束にいつまでも大人しく甘んじているわけがないのだった。縛り付けてきたからしばらくのあいだ、時間稼ぎになったはずだが。
折角会えたのだ。この機会にいろいろと確かめたいことがある。
それにしても、祭りは中止だ。どこで神楽は遊びたいのか。
万事屋に帰るのがいやだってことは、だ。うちでテロリストと危険な遊びはだめってことだろ。
「じゃーどこで? 何して? 銀さんもうお疲れなんだけど」
子供つれて遊べるようなとこは残念ながらいい具合にただれたかぶき町にはないのだった。夜の公園か? ろくでなしのたまり場だよ。
大人の遊び場は沢山あるんだけどね。パチンコとか飲み屋とかキャバクラとかイメクラとか賭場とか風呂屋とか、あーでもどれも金がかかるなぁ。
「どこって…」
そういった後、神楽はため息をついた。神楽自身にも夜遊びの明確なビジョンがあった訳ではないに違いない。銀時がなんのプランも出さないでいると。
「夜遊びの一つもできないなんて銀ちゃんも情けない大人アルな。もういいアル。新八の家にいって姉御の帰りを待つアル」
「なんでそうなるの、神楽ちゃん」
ということになった。
ある意味都合のいい展開ではあった。
いきなり指名手配中のテロリストを生き別れた銀さんの(心の)嫁ですとか紹介されたら困るよね。多分。いや、こいつらなら案外イケルかも…?
「まあいいけど。銀さんはうちに帰るよ?」
「好きにするアル」
「じゃー、新八君後は頼んだ」
「ちょっとおおおお。僕まだ良いって言ってませんよ!?」
という新八によくあることなんだからいいじゃんと神楽を預け、ドラッグストアに寄り道すると、銀時は万事屋に急ぎ戻ったのだった。
からららっと銀時はいつもより若干性急に戸を開けた。
高杉の草履がまだあることに安堵しながら、電気もつけずに銀時は和室に行こうとして舌打ちをした。襖が開けっ放しだ。高杉が開けたに違いない。
思った通り、和室に敷かれた布団の中に高杉はいなかった。
「チッ」
室内に縄は落ちてない。だがどうやってか縄を解いたのだ。草履もはかずに裸足で逃げたか。そう思いながら急いで振り返り、探しにいこうとした銀時の耳にかたりと小さな音が届いた。
「!」
いる!
銀時は台所から出て玄関から出ようとしていた黒い影に追いすがり、力任せにぐいと引っ張った。
引っ張られたときに三和土に足でもぶつけたのか、銀時の腕の中で高杉も一瞬息を詰めた。しかしそれもほんの刹那で銀時がいててとかいって転がっている今が最後のチャンスとみたのか、渾身の頭突きを放って腕から逃れた。
(逃がすか!)
ちっちゃい頭でおもいくそどつかれて、くらっとしながら銀時はそれでも必死に体を玄関の方へと滑り込ませ、退路を断った。
それを見た高杉は舌打ちしながら逆方向へと走る。玄関から穏便に出るつもりはなくなったのだ。窓をぶち破って飛び降りる気だ。
(させねぇ)
銀時も負けずに高杉を追いかけ、帯へと手を伸ばそうとした。また先ほどのように力づくで引きずられると察知したのか、高杉は振り向き様に回し蹴りを銀時の腹めがけて叩き込んできた。
これで銀時が倒れるとはおもってはいなかっただろう。だが窓から悠々と飛び降りるだけの時間はこれで稼げる。そういう算段だったに違いない。しかし銀時は蹴られた勢いで後退しながらも繰り出された足を片手で掴んでいた。
「クッ、馬鹿力が」
がんがんと掴まれた足に力を入れて蹴りたくるが銀時はすでに両腕で抱えこんでいた。もうこうなったらどうあっても振りほどけない。
銀時はにや、と笑った。高杉の抵抗はここまでだ。
捕まえた。
そう思うとこみ上げる嬉しさと興奮でぞくぞくした。
もう、これからすごいぞ♥
もちろんそれで諦めるほど高杉は往生際の良い男ではなかった。薄気味悪い笑みを浮かべる銀時の、怪我をしたばかりの左手めがけて、抱え込まれた足を軸にして残された足で飛び蹴り。
「いでーっ」
(それでも俺は高杉を離しませんでした。根性ぉ、と)
銀時が離さなかったせいで、高杉は頭からごん、と床に落ちた上、その上から銀時も落ちて来たのでたまったものではなかった。
「っ」
両手さえ自由だったらもう少し抵抗できたのに。本当後少しのところで帰ってきやがってとぎりぎりと歯を食いしばる。
「う〜ん」
これのせいでアレだったのね、と銀時は下に敷いた高杉の手にようやく目がいったらしく、両手の縄目を片手で持ち上げると、括られた手に唇をおとした。
ぴくりと、指が震えるのを死んだ魚の目をしたまま銀時は少し嬉しそうにする。
それからじっくりと高杉の全身を舐め回すように見る。
「なあ、さっきから思ってたけどよー。お前エロくなったよね。いや昔からムラムラのエロエロだったけどよ。すんごいエロいことになってるね」
今にも寝そうな無気力な目なのに銀時の視線に何故か質量を感じ、高杉はぞっとしながら言い返した。
「ああ!? 糖尿でとうとう目にきたかよ」
「おめー自分の格好見てから言えよ」
高杉が片目でそっと見下ろせば確かに酷い格好だった。楽に楽にと着流し一枚ではだけまくっている高杉だが、今の格好はそれ以上だ。だてに銀時と格闘したわけじゃない。蹴ったり蹴ったりで裾は捲れまくっているし、はだけて襟は肩までずり落ちていた。女子ではあるまいし、裸を見られたからといって何とも思わない高杉だが、流石に見苦しいかと不自由な手で襟をあわせようとした。
銀時はその上から制して、高杉の腹筋の割れ目をすーっと撫でた。
「触んなっ」
性的な接触を思わせる動きに高杉はばしっとその手を払う。
「今更? だめだめ。お前来たら絶対取っ捕まえてヤルって思ってたもん」
「銀時ィ」
高杉はうなる。
確かに銀時と高杉にはそういう関係があった。なんというか、可愛がってたわんこに噛まれた的な。昔の話だ。それなりに真剣だったと思うが破綻した。銀時が戦場を離れた時に、自分が彼の手を取らなかった時に清算されたと高杉は思っていた。
「それよりつかぬ事を伺いますが、なんで俺んとこ来なかったの。いや、今日結局来てくれた訳ですけど」
(?)
何か、おかしな話になって来たなと思って高杉は考える。何故、高杉が銀時元へ訪ねるのが当然、のような話になっているのだ。
行く訳がない。だって別れたのだ。
「別に会いにきた訳じゃねぇ。目の前にふらふらしてやがったからつい」
それなりに愛着もあったので、からかってやるか、ぐらいの気持ちで声をかけた。戦場の気配を纏ったままの高杉に嫌がる銀時が見たかった。嫌がらせだった。
少なからず鬱憤もあった。
銀時も高杉も戦友を失った。だが高杉からは一向に憎しみは消えないのにとお前は楽しそうだなぁ的な。八つ当たりだ。分かっている。
ほとんどの賢い奴らは銀時のように生きている。ただ高杉にはどうしてもそれができなかっただけだ。それができたらどうしていただろう。自分は銀時の傍にいただろうか。河原で笑い合っていた子供たちのように? 高杉には想像もつかない。
「ふーん」
「大体お前はやめたんだろ」
攘夷活動をまるで部活動をやめたかの如く、高杉は言った。
だったらさ、部活やめたくらいで恋人関係が解消されるとかなくない? と思いながら銀時は言う。
「でも俺がお前の男なのは変わらない事実なんですよ…何その顔」
あまり表情を動かさない高杉が、珍しく心底驚愕しました、という顔をしてみせた。
「おまえ、俺が他のとどうこうなってるとか思わねーのかよ。相変わらずめでてーな」
「ああ?」
ぴくりと銀時はほほが引きつるのを感じた。
「どっからそんな自信が」
「っていんのかよ。そんなの」
ぴくぴくとほほは痙攣した。そんな心変わり許せるほど銀さん人間が出来てないから。ていうか人間出来てても許せないのが普通だから。不義密通は二人重ねて四っつだよ。
一体どこのどいつだ? かの有名な葉隠にだって交情の相手は一生に一人ってあるだろぉぉぉぉぉ!。
「さあどうだろーな。くくく」
貞女は二夫にまみえず!
「…あっそ」
しかしまるで悪びれない高杉に銀時は覚悟を決めた。確かにこんなのを数年も放置していた銀時も悪い。犯されちゃってもしょうがないほどエロエロだもの。
「んだよ」
ただこれからは許しません。
「んなのいたところで俺がやるのはかわんねぇし。むしろもっとひどくするだけだし」
「はあ? お前人のもんに手ぇだすなんて最低だぞ」
最初に手ぇ出されたのは俺だよ。その間男見つけたら真っ二つ。高杉は可愛いから折檻で勘弁してやると思いながら銀時は言った。
「いやいやいや何言ってんの晋ちゃん。手ぇだすどころか、あれだよ?」
「っ」
銀時ははだけきった高杉の着物の下に右手を這わせながらいった。
「銀さんこれから寝取り返すわけだからね。覚悟しな」
そして左手で懐から出したドラッグストアの紙袋をどんと置いた。
「っ、っ、い、」
「イイ?」
高杉はまなじりを濡らしながらもギリッと銀時を睨んで、銀時は心中でおっとぉ、と声を上げた。
「そんなに痛ぇ?」
ぎっつぎっつの中だけではなく、高杉の四肢はぶるぶると震えていた。唇を噛み締めようとしてうまく行かない。次から次へと苦痛の声が漏れた。初めてやった時を思い出す。
あの日も、高杉はこんな風に震えながら耐えていた。
だがあの日と違って、銀時は慌てることなく息を吐いて、締め付けられる痛みをやり過ごす。こぼれる涙を掬いとってなめた。にやにやした笑いが止まらない。
こんなにきつくて、よくも人のものになったとかいえたものだ。いや、それともアレか女の方か? 高杉のお色気に惑わされて気付かなかったがそっちの方があり得そうだ。高杉はこう見えて物堅いところがある。男なんかはねつけそうだ。
「気色、悪い」
震える高杉の縛ったままの手を首にかけ、銀時は高杉の耳に唇を寄せる。
「っあ」
腹の上で、身動きしたためか、それとも耳が感じたのか。それとも銀時に? ハジメテと違うところはさんざんやってやってやりまくって開発されてるというところか。きつくなって痛がっていても快楽は身にしみて、高杉をよがらせるわけだ。
ドS心を刺激されて、久しぶりってのもいいもんだなぁなどと銀時は思う。
「何が? コレ?」
銀時は笑いながら自身を揺すった。ドラッグストアで買って来たジェルで濡れ濡れなので滑りだけはいい。高杉は声を押し殺して身をよじる。
「すぐ、よくなるから」
言うと、銀時は手加減せずに腰を振り始めた。
「や、め」
否定の言葉はすぐに嬌声に変わった。
「あっ、んっ」
太陽が黄色い。
随分と日が昇ってから方々の態で高杉は銀時の腕から逃れた。
高札の文字までが恨めしい。
結局祭りを楽しめなかっただけでなく、高杉は源外の起こしたことを見ることも叶わなかったのだ。全てが銀時の掌の上で収束し、自分は歩くのもしんどい。
桂がごちゃごちゃといったが、忌々しくって仕方がない。口元が引きつった。
今度から江戸に来ても絶対、銀時なんかからかわない。牙なんかとっくに抜け落ちたと思ったのに、高杉は体中歯形だらけだった。
「ちっ」
舌打ち一つ残して、高杉は江戸を後にした。
(う〜ん、どうすっかなー)
どうも暴れたせいで、興奮してしまったらしい。それとも折角楽しみにしていた祭りを台無しにされた悔しさか。
気持ちはわからないでもない。銀さんも結局綿菓子食べれなかったしね。夕方から食べたのって焼き鳥に酒だもの。まるで糖分足りないもの。と銀時は神楽を見下ろしながら思った。
しかしこちとら急いで万事屋に戻らなければならない。
放置してきた過激派攘夷志士を逃がしたくはなかった。だが銀時の心とは裏腹に高杉は気がついたとたん逃亡を図るだろう。あの気の強いおぼっちゃまが銀時の拘束にいつまでも大人しく甘んじているわけがないのだった。縛り付けてきたからしばらくのあいだ、時間稼ぎになったはずだが。
折角会えたのだ。この機会にいろいろと確かめたいことがある。
それにしても、祭りは中止だ。どこで神楽は遊びたいのか。
万事屋に帰るのがいやだってことは、だ。うちでテロリストと危険な遊びはだめってことだろ。
「じゃーどこで? 何して? 銀さんもうお疲れなんだけど」
子供つれて遊べるようなとこは残念ながらいい具合にただれたかぶき町にはないのだった。夜の公園か? ろくでなしのたまり場だよ。
大人の遊び場は沢山あるんだけどね。パチンコとか飲み屋とかキャバクラとかイメクラとか賭場とか風呂屋とか、あーでもどれも金がかかるなぁ。
「どこって…」
そういった後、神楽はため息をついた。神楽自身にも夜遊びの明確なビジョンがあった訳ではないに違いない。銀時がなんのプランも出さないでいると。
「夜遊びの一つもできないなんて銀ちゃんも情けない大人アルな。もういいアル。新八の家にいって姉御の帰りを待つアル」
「なんでそうなるの、神楽ちゃん」
ということになった。
ある意味都合のいい展開ではあった。
いきなり指名手配中のテロリストを生き別れた銀さんの(心の)嫁ですとか紹介されたら困るよね。多分。いや、こいつらなら案外イケルかも…?
「まあいいけど。銀さんはうちに帰るよ?」
「好きにするアル」
「じゃー、新八君後は頼んだ」
「ちょっとおおおお。僕まだ良いって言ってませんよ!?」
という新八によくあることなんだからいいじゃんと神楽を預け、ドラッグストアに寄り道すると、銀時は万事屋に急ぎ戻ったのだった。
からららっと銀時はいつもより若干性急に戸を開けた。
高杉の草履がまだあることに安堵しながら、電気もつけずに銀時は和室に行こうとして舌打ちをした。襖が開けっ放しだ。高杉が開けたに違いない。
思った通り、和室に敷かれた布団の中に高杉はいなかった。
「チッ」
室内に縄は落ちてない。だがどうやってか縄を解いたのだ。草履もはかずに裸足で逃げたか。そう思いながら急いで振り返り、探しにいこうとした銀時の耳にかたりと小さな音が届いた。
「!」
いる!
銀時は台所から出て玄関から出ようとしていた黒い影に追いすがり、力任せにぐいと引っ張った。
引っ張られたときに三和土に足でもぶつけたのか、銀時の腕の中で高杉も一瞬息を詰めた。しかしそれもほんの刹那で銀時がいててとかいって転がっている今が最後のチャンスとみたのか、渾身の頭突きを放って腕から逃れた。
(逃がすか!)
ちっちゃい頭でおもいくそどつかれて、くらっとしながら銀時はそれでも必死に体を玄関の方へと滑り込ませ、退路を断った。
それを見た高杉は舌打ちしながら逆方向へと走る。玄関から穏便に出るつもりはなくなったのだ。窓をぶち破って飛び降りる気だ。
(させねぇ)
銀時も負けずに高杉を追いかけ、帯へと手を伸ばそうとした。また先ほどのように力づくで引きずられると察知したのか、高杉は振り向き様に回し蹴りを銀時の腹めがけて叩き込んできた。
これで銀時が倒れるとはおもってはいなかっただろう。だが窓から悠々と飛び降りるだけの時間はこれで稼げる。そういう算段だったに違いない。しかし銀時は蹴られた勢いで後退しながらも繰り出された足を片手で掴んでいた。
「クッ、馬鹿力が」
がんがんと掴まれた足に力を入れて蹴りたくるが銀時はすでに両腕で抱えこんでいた。もうこうなったらどうあっても振りほどけない。
銀時はにや、と笑った。高杉の抵抗はここまでだ。
捕まえた。
そう思うとこみ上げる嬉しさと興奮でぞくぞくした。
もう、これからすごいぞ♥
もちろんそれで諦めるほど高杉は往生際の良い男ではなかった。薄気味悪い笑みを浮かべる銀時の、怪我をしたばかりの左手めがけて、抱え込まれた足を軸にして残された足で飛び蹴り。
「いでーっ」
(それでも俺は高杉を離しませんでした。根性ぉ、と)
銀時が離さなかったせいで、高杉は頭からごん、と床に落ちた上、その上から銀時も落ちて来たのでたまったものではなかった。
「っ」
両手さえ自由だったらもう少し抵抗できたのに。本当後少しのところで帰ってきやがってとぎりぎりと歯を食いしばる。
「う〜ん」
これのせいでアレだったのね、と銀時は下に敷いた高杉の手にようやく目がいったらしく、両手の縄目を片手で持ち上げると、括られた手に唇をおとした。
ぴくりと、指が震えるのを死んだ魚の目をしたまま銀時は少し嬉しそうにする。
それからじっくりと高杉の全身を舐め回すように見る。
「なあ、さっきから思ってたけどよー。お前エロくなったよね。いや昔からムラムラのエロエロだったけどよ。すんごいエロいことになってるね」
今にも寝そうな無気力な目なのに銀時の視線に何故か質量を感じ、高杉はぞっとしながら言い返した。
「ああ!? 糖尿でとうとう目にきたかよ」
「おめー自分の格好見てから言えよ」
高杉が片目でそっと見下ろせば確かに酷い格好だった。楽に楽にと着流し一枚ではだけまくっている高杉だが、今の格好はそれ以上だ。だてに銀時と格闘したわけじゃない。蹴ったり蹴ったりで裾は捲れまくっているし、はだけて襟は肩までずり落ちていた。女子ではあるまいし、裸を見られたからといって何とも思わない高杉だが、流石に見苦しいかと不自由な手で襟をあわせようとした。
銀時はその上から制して、高杉の腹筋の割れ目をすーっと撫でた。
「触んなっ」
性的な接触を思わせる動きに高杉はばしっとその手を払う。
「今更? だめだめ。お前来たら絶対取っ捕まえてヤルって思ってたもん」
「銀時ィ」
高杉はうなる。
確かに銀時と高杉にはそういう関係があった。なんというか、可愛がってたわんこに噛まれた的な。昔の話だ。それなりに真剣だったと思うが破綻した。銀時が戦場を離れた時に、自分が彼の手を取らなかった時に清算されたと高杉は思っていた。
「それよりつかぬ事を伺いますが、なんで俺んとこ来なかったの。いや、今日結局来てくれた訳ですけど」
(?)
何か、おかしな話になって来たなと思って高杉は考える。何故、高杉が銀時元へ訪ねるのが当然、のような話になっているのだ。
行く訳がない。だって別れたのだ。
「別に会いにきた訳じゃねぇ。目の前にふらふらしてやがったからつい」
それなりに愛着もあったので、からかってやるか、ぐらいの気持ちで声をかけた。戦場の気配を纏ったままの高杉に嫌がる銀時が見たかった。嫌がらせだった。
少なからず鬱憤もあった。
銀時も高杉も戦友を失った。だが高杉からは一向に憎しみは消えないのにとお前は楽しそうだなぁ的な。八つ当たりだ。分かっている。
ほとんどの賢い奴らは銀時のように生きている。ただ高杉にはどうしてもそれができなかっただけだ。それができたらどうしていただろう。自分は銀時の傍にいただろうか。河原で笑い合っていた子供たちのように? 高杉には想像もつかない。
「ふーん」
「大体お前はやめたんだろ」
攘夷活動をまるで部活動をやめたかの如く、高杉は言った。
だったらさ、部活やめたくらいで恋人関係が解消されるとかなくない? と思いながら銀時は言う。
「でも俺がお前の男なのは変わらない事実なんですよ…何その顔」
あまり表情を動かさない高杉が、珍しく心底驚愕しました、という顔をしてみせた。
「おまえ、俺が他のとどうこうなってるとか思わねーのかよ。相変わらずめでてーな」
「ああ?」
ぴくりと銀時はほほが引きつるのを感じた。
「どっからそんな自信が」
「っていんのかよ。そんなの」
ぴくぴくとほほは痙攣した。そんな心変わり許せるほど銀さん人間が出来てないから。ていうか人間出来てても許せないのが普通だから。不義密通は二人重ねて四っつだよ。
一体どこのどいつだ? かの有名な葉隠にだって交情の相手は一生に一人ってあるだろぉぉぉぉぉ!。
「さあどうだろーな。くくく」
貞女は二夫にまみえず!
「…あっそ」
しかしまるで悪びれない高杉に銀時は覚悟を決めた。確かにこんなのを数年も放置していた銀時も悪い。犯されちゃってもしょうがないほどエロエロだもの。
「んだよ」
ただこれからは許しません。
「んなのいたところで俺がやるのはかわんねぇし。むしろもっとひどくするだけだし」
「はあ? お前人のもんに手ぇだすなんて最低だぞ」
最初に手ぇ出されたのは俺だよ。その間男見つけたら真っ二つ。高杉は可愛いから折檻で勘弁してやると思いながら銀時は言った。
「いやいやいや何言ってんの晋ちゃん。手ぇだすどころか、あれだよ?」
「っ」
銀時ははだけきった高杉の着物の下に右手を這わせながらいった。
「銀さんこれから寝取り返すわけだからね。覚悟しな」
そして左手で懐から出したドラッグストアの紙袋をどんと置いた。
「っ、っ、い、」
「イイ?」
高杉はまなじりを濡らしながらもギリッと銀時を睨んで、銀時は心中でおっとぉ、と声を上げた。
「そんなに痛ぇ?」
ぎっつぎっつの中だけではなく、高杉の四肢はぶるぶると震えていた。唇を噛み締めようとしてうまく行かない。次から次へと苦痛の声が漏れた。初めてやった時を思い出す。
あの日も、高杉はこんな風に震えながら耐えていた。
だがあの日と違って、銀時は慌てることなく息を吐いて、締め付けられる痛みをやり過ごす。こぼれる涙を掬いとってなめた。にやにやした笑いが止まらない。
こんなにきつくて、よくも人のものになったとかいえたものだ。いや、それともアレか女の方か? 高杉のお色気に惑わされて気付かなかったがそっちの方があり得そうだ。高杉はこう見えて物堅いところがある。男なんかはねつけそうだ。
「気色、悪い」
震える高杉の縛ったままの手を首にかけ、銀時は高杉の耳に唇を寄せる。
「っあ」
腹の上で、身動きしたためか、それとも耳が感じたのか。それとも銀時に? ハジメテと違うところはさんざんやってやってやりまくって開発されてるというところか。きつくなって痛がっていても快楽は身にしみて、高杉をよがらせるわけだ。
ドS心を刺激されて、久しぶりってのもいいもんだなぁなどと銀時は思う。
「何が? コレ?」
銀時は笑いながら自身を揺すった。ドラッグストアで買って来たジェルで濡れ濡れなので滑りだけはいい。高杉は声を押し殺して身をよじる。
「すぐ、よくなるから」
言うと、銀時は手加減せずに腰を振り始めた。
「や、め」
否定の言葉はすぐに嬌声に変わった。
「あっ、んっ」
太陽が黄色い。
随分と日が昇ってから方々の態で高杉は銀時の腕から逃れた。
高札の文字までが恨めしい。
結局祭りを楽しめなかっただけでなく、高杉は源外の起こしたことを見ることも叶わなかったのだ。全てが銀時の掌の上で収束し、自分は歩くのもしんどい。
桂がごちゃごちゃといったが、忌々しくって仕方がない。口元が引きつった。
今度から江戸に来ても絶対、銀時なんかからかわない。牙なんかとっくに抜け落ちたと思ったのに、高杉は体中歯形だらけだった。
「ちっ」
舌打ち一つ残して、高杉は江戸を後にした。
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