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十月十日は銀時の誕生日だった。
自分が生まれた日はおろか、年さえも分からない銀時を見て、松陽が決めた事だった。あれは銀時が松陽に捕獲されて家に連れられて帰った日のことだった。
松陽が井戸で汲んだ水でかわるがわる足を粗い、旅の埃を縁側で落しながらぽつりぽつりと話をしていて。
「そうですか。いくつくらいですかねぇ。まあ誕生日は今日にしましょう。銀時がうちにやってきた記念に」
はあ、といいながら銀時は頷いた。まあ誕生日といっても当時は特別重要な日ではなかった。年は正月にみんなでとるものだからだ。
記念にしてもらえるならそれでいいや、とこだわりはなかった。
「年は重要ですね。う〜ん」
そういいながら松陽は銀時頭の先から足の先まで熱心に見る。
「先生、お久しぶりです。お帰りなさい」
そんな時だった。知らない子がやってきたのだった。
「おや晋助。元気にしていましたか」
晋助というらしい。銀時には望むべくもない、黒くて真っ直ぐなつやつやとした髪で目もなんだかきらきらしていた。着ているものも汚れなどなく、白鳥か鶴のように違う生き物に見えた。
「はい。先生が寺町をお通りになられたと聞いて。丁度小豆をたいていたところでしたので母がおはぎを持たせてくれました」
「ありがとう。今日はごちそうですね。お茶を飲みながらみんなで頂きましょうか」
「はい。先生、この子は?」
ちら、と晋助は銀時の方を見ていった。
「銀時といいます。一緒に暮らそうと思って連れてきました」
「はあ。銀時? おれは晋助」
「えーとよろしく?」
「まあよろしく」
友好的かといわれれば友好的なまずまずな挨拶を双方かわした。まだ探りを入れている常態ではたしてこいつとは仲良くやれるのだろうかそれとも敵か、いやいやそんなにしょっちゅう顔を会わせたりしないだろ。近所の子?
みたいなかんじだった。
子供たちの微妙な空気を察したのかそれともあえて読まなかったのか、松陽はそうそう、といった。
「銀時は晋助と同じ年頃ですね」
「えっ、おれこんなにちみっちゃくねぇよ」
思わずそういってしまった銀時は晋助の逆鱗に触れたようだった。
「誰がちびだ!」
くわっと烈火のように言い返された。
「え〜、だって〜」
「銀時だって大してかわりはしないよ」
「そうだ! ほんのちょっとしか違わないだろ! すぐに抜いてやる!」
負けん気を前面に押し出した晋助はぎらぎらしながらそう言った。
ただ残念ながら、晋助が松陽の元で三度の食事に困る事なくすくすくと育つ銀時の背を抜く事はなかった。それどころかある時には一回りくらい差がついて。流石にその時は松陽も小太郎、銀時、晋助が並んでいるのを見ながらいった。
「小太郎と同じくらいでしたかね?」
「先生、今おれの背を見ながら言いました?」
「いや、でも中身は」
「ひどっ、先生何気にひどっ! 世知辛い世の中で育って中身が育ってねぇわけねーだろう。銀さんもう大人ですぅ」
「てめぇ、銀時。なんでおれと中身が同じくらいで酷いって話になんだよああん? お前おれより大人のつもりかぁ?」
「あれぇ、そう聞こえなかったぁ? もしもし可愛いお耳は大丈夫ですかぁ?」
そんで取っ組み合いの喧嘩になったり。
「うん。やっぱり同じくらいですね」
と微笑ましくいわれたりした。
あの頃の高杉、可愛かったなぁ。今も充分可愛いけどね。ほら、色というか艶を増したからね。大人の魅力って奴?
と思いながら銀時はおはぎをもっしもっし食べ続けた。
だってあんなことがあれば誕生日ってイコールおはぎでしょ。ケーキなんかあの時代なかったしね。
あ〜、それにしてもうまい。おはぎは半殺しの粒あんに限る。
そんな一人寂しい誕生日を過ごしました。
新八神楽を拾う前の話。
お久しぶりです。銀誕なのでせっかくなんで何かと思ってちょっとだけ上がってきました。久しぶりにやって来たらおいでいただいてるみたいで驚愕しました。まじすいません。
じゃんぴ。イボの話とか面白かったです。なんで銀さんはいぼに侵されなかったの。どんだけ無気力に回りにとけ込んだ空気だったのと思いました。カイザーとか近妙とか新神とかもね。大変ほのぼのとした。いいじゃない。銀ちゃんには高杉がいるじゃない。